投資信託とETFの違いは?初心者が知るべきメリット・デメリット徹底比較

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【はじめに】
投資を始めようと思ったとき、「投資信託とETF(上場投資信託)はどちらがいいの?」と疑問を持つ方は多いでしょう。両者にはコスト面や取引方法など、さまざまな違いがありますが、初心者にとっては複雑に感じられるかもしれません。そこで今回は、投資信託とETFの基礎知識を整理し、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較します。具体的な購入手順や選び方のポイントも解説しますので、自分に合った商品を見つける参考にしてください。


1. 投資信託とETFの基礎知識

投資信託とは、投資家から集めたお金を専門の運用会社が株式や債券などに投資し、その成果が投資家に分配される仕組みの金融商品です。一般に「ファンド」と呼ばれることもあります。多くの投資信託は証券会社や銀行などを通じて購入でき、1日1回算出される基準価額(NAV:Net Asset Value)によって値段が決まります。運用会社が設定する目標や方針に沿って複数の銘柄に分散投資を行うため、初心者でも比較的リスクを抑えた投資が行いやすいという特徴があります。

一方、ETF(Exchange Traded Fund)は、日本語で「上場投資信託」と呼ばれ、証券取引所に上場している投資信託の一種です。株式と同様に市場でリアルタイムに取引されるため、売買時に「株価」のような価格がつきます。投資信託との最も大きな違いは、この取引方法にあります。投資信託では1日1回の基準価額でしか売買できませんが、ETFなら株式と同じようにザラ場(市場が開いている時間帯)で頻繁に価格が変動します。

このように、投資信託とETFは「投資家から集めた資金を運用する」という大枠の仕組みは同じですが、買い方や売り方に違いがあるのが大きな特徴です。インデックスをベンチマークとする商品が多い点も共通しており、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの指数を追随する形で運用するものが代表的です。インデックスとは、特定の市場やセクター全体の動きを示す指標のことを指します。

投資信託とETFの両方に「分配金」という考え方がある点も共通しますが、分配方針は商品ごとに異なります。分配金を出さずに運用益を再投資してくれる「再投資型」の投資信託もあれば、定期的に分配を行う商品もあります。ETFの場合は、株式同様に配当金のように定期的な分配を受け取るスタイルが多い傾向です。ただし、海外ETFなどは年数回の配当が出る商品もあり、その頻度や利回りは商品によって大きく差があります。

もう1つ重要なキーワードとして、トラッキングエラーがあります。投資信託やETFが参照している指標(インデックス)に対して、どのくらい乖離が生じるかを示す指標です。運用コストや運用方針の違いによってインデックスとのズレが生じることがあり、このズレが大きいほど「期待していたリターンとの食い違い」が出る可能性があります。信託報酬(運用管理費用)が高い商品や運用の効率が悪い商品ほど、トラッキングエラーが大きくなる傾向があるため注意が必要です。

こうした基礎知識を踏まえたうえで、自分には投資信託が向いているのか、それともETFが合っているのかを見極めるには、コストや流動性といった観点が欠かせません。次の章では、そのあたりをより詳細に比較していきます。


2. コスト面と流動性の違い

投資で成果を出すうえで、見逃せないのが「コスト」。投資信託やETFを保有する際には信託報酬などのランニングコストがかかります。また、購入・売却時の売買手数料や、ETFの場合は株式取引と同様にスプレッドが発生するケースもあります。そこでまずは、両者の代表的なコスト構造を確認しましょう。

投資信託の場合、主なコストとして「購入手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」が挙げられます。最近はノーロード(購入手数料が無料)のファンドが増えていますが、一部のアクティブファンドなどは購入時に1〜2%程度の手数料がかかることもあります。信託報酬は年間の運用管理費用で、インデックス型なら0.1〜0.3%程度、アクティブ型だと1%前後やそれ以上になることも珍しくありません。信託財産留保額は解約時に徴収される費用で、0〜0.5%程度と商品によってまちまちです。

ETFの場合は、原則として購入手数料や売却手数料が証券会社の株式取引手数料と同様に扱われるため、ネット証券であれば片道数百円ほど、または定額プラン内で済むこともあります。信託報酬についてはインデックス型のETFは比較的安いものが多く、0.1〜0.2%台の商品も多数存在します。一方で、売買の際に注意したいのがスプレッドです。スプレッドとは、買い注文と売り注文の価格差のことで、流動性が低いETFだとこのスプレッドが大きくなる場合があります。流動性とは、どれだけ取引が盛んに行われているかを示す概念で、取引量が少ない商品ほど希望する価格で売買が成立しにくいというリスクがあります。

例えば、日経平均株価に連動する「上場インデックスファンド225(仮称)」などは、売買高が大きいためスプレッドはごく小さい傾向にありますが、マイナーなセクターに連動するETFや、新興国の特定市場を対象にしたETFなどは、売買が成立しにくくスプレッドが広がる可能性があります。これにより、思った以上に取引コストがかかってしまうこともあるのです。

売買のタイミングに関しても、投資信託は1日1回しか基準価額が更新されませんが、ETFはリアルタイムで価格が変動します。短期トレードを行いたい場合は、ETFのほうが有利に感じるかもしれませんが、そもそも長期投資が目的であれば、1日1回の基準価額でも大きな問題にならないという声もあります。むしろ、一日に何度も価格チェックをする必要がない分、精神的な負担が少ないとも言えます。

このように、コスト面と流動性について比較すると、投資信託は購入手数料がノーロードであれば実質的にかかるのは信託報酬だけというケースが多く、売買の手軽さと精神的負担の少なさがメリット。一方、ETFは売買手数料が必要になる場合もあるものの、比較的信託報酬が低く抑えられていて、取引の自由度が高い点が魅力と言えます。ただし、商品によっては流動性が低く、スプレッドのリスクがあるため注意が必要です。


3. 選び方と具体的な購入手順

ここでは、投資信託やETFを実際に購入する手順と、どのような観点で商品を選べばいいかを解説します。まず、証券口座を持っていない場合は、ネット証券などで口座を開設しましょう。多くのネット証券では、投資信託もETFも同じ口座で売買できます。NISAやつみたてNISAの枠を使う場合は、非課税メリットも得られますが、投資できる商品の種類や年間投資枠に制限があるので、その点はあらかじめ把握しておきたいところです。

商品選びで注目したいのは、まずは信託報酬の水準です。特に長期投資を考えるなら、運用期間が長くなるほど信託報酬の差がパフォーマンスに直結します。たとえば信託報酬が年1%違うだけでも、10年以上の運用では大きな差となって表れます。次に、インデックス型なのかアクティブ型なのかを判断します。インデックス型はインデックスに連動した運用を行い、コストが低めな傾向。一方、アクティブ型はファンドマネージャーの裁量で運用を行い、より高いリターンを狙う反面、運用コストが高くなることが多いです。

ETFを選ぶ場合は、できるだけ流動性の高い商品を選ぶと安心です。特に、日経平均やTOPIX、S&P500などメジャーな指数に連動するETFは売買高が大きく、スプレッドも小さいため、余計なコストがかかりにくいメリットがあります。海外ETFに興味があるなら、S&P500や全世界株式などを対象とする米国ETFも注目されがちですが、為替リスクや米国の課税制度など追加で考慮すべき点があります。

購入手順としては、投資信託の場合は証券会社のウェブサイトで購入金額を指定して注文するだけというケースが多いです。購入手数料がかからない「ノーロードファンド」を選べば、最初の買付コストを抑えられます。ETFの場合は株式同様に「何株買うか」を指定して注文を出します。指値注文や成行注文を選択できるため、希望する価格帯がある場合は指値を利用すると良いでしょう。また、ETFはザラ場で売買できるので、買い時や売り時をある程度自分でコントロールしやすい反面、頻繁に売買を行うと手数料がかさむ点には注意が必要です。

初心者であれば、まずは少額から試してみるのがオススメです。ネット証券によっては100円単位から投資信託を積立できるサービスを提供しているところもあり、月1,000円や1万円といった単位でスタートするのも十分可能です。ETFの場合は1口あたり数千円〜数万円程度になる商品が多いので、投資信託よりは少しハードルが高い印象を受けるかもしれません。その場合、投資信託で経験を積んでからETFに挑戦してみるのも良いでしょう。


4. メリット・デメリットを徹底比較

投資信託とETFには、それぞれメリットとデメリットが存在します。ここでは主なポイントを整理してみましょう。

まず投資信託のメリットとしては、1日1回の基準価額で売買する仕組みにより、日中の価格変動に振り回されにくいことが挙げられます。精神的ストレスが少なく、長期積立投資との相性が良いという意見が多いです。また、ネット証券などでは少額から定期的に買い付けるサービスも充実しており、つみたてNISAなどの制度を利用しやすいのもポイントです。さらに、運用会社が投資先を選んでくれるため、個別銘柄の分析に時間をかけなくても分散投資が手軽に実現しやすいという利点があります。

デメリットとしては、リアルタイムでの売買ができず、基本的に1日1回の基準価額のみで取引する点が挙げられます。また、アクティブファンドの中には信託報酬が高い商品があり、長期的に見ると運用コストが大きくリターンに影響することがあります。さらに、投資信託の中には毎月分配型のように分配金を高頻度で出す商品もありますが、必ずしも投資家にとってメリットが大きいとは限らず、複利効果の観点からは再投資型のほうがパフォーマンスが良いケースもあるため注意が必要です。

一方、ETFのメリットは、株式同様に取引時間中であればいつでも売買ができる流動性の高さです。さらに、インデックス型ETFは信託報酬が低い商品が多く、長期で保有すればコスト面で投資信託より有利になる可能性があります。リアルタイム価格で売買できるため、上手くいけば短期の相場変動を捉えて利益を得るチャンスがあるかもしれません。

ただし、ETFにはスプレッドの問題や、売買手数料がかかるというデメリットがあります。特に取引量の少ないETFでは、思った価格で売買できない可能性がある点に留意が必要です。頻繁に売買するほど手数料が積み重なるため、長期運用前提であっても購入時と売却時に確実にコストがかかることを意識しておくべきでしょう。また、海外ETFを買う際は為替リスクや外国税制の影響も考慮しなければならず、手続きがやや複雑になるケースもあります。

以上のように、「精神的に楽で、少額から積立しやすい」のが投資信託、「取引の自由度が高く、コストが低い場合が多い」のがETFというイメージを持つと分かりやすいかもしれません。自分の投資スタイル(長期積立メインか、短期取引も視野に入れるかなど)やリスク許容度を考えて、どちらを選ぶか判断するのが大切です。


5. 具体的事例と今後の展望

最後に、具体的な事例と今後の投資スタイルの展望について考えてみましょう。例えば、ある投資家Aさんは、毎月3万円をつみたてNISAで国内外の株式インデックスファンドに投資信託として積立を行っています。その一方で、ある程度資金に余裕ができたときには、米国株に連動するETFを追加購入することで、下がったときにリアルタイムで買い増しを狙う戦略を取っています。投資信託で安定的に積立しつつ、ETFで相場状況に応じてフレキシブルな売買を行うというハイブリッドスタイルです。

インターネット上では「投資信託 vs ETF」という比較が盛んに行われますが、実際には両方をうまく使い分けている投資家も多く存在します。確かにコスト面だけを見ればインデックス型ETFに軍配が上がる場合がありますが、少額積立や手軽さという点では投資信託が優位なケースもあるからです。特に日本の投資家には、つみたてNISAなどで投資信託をコツコツ買い付けるスタイルが根付きやすいと言われています。

今後の展望としては、さらなる低コスト化が進む可能性があります。既に信託報酬0.1%を下回るファンドやETFも登場しており、運用会社同士の競争が激化することで、投資家にとってはより選択肢が広がるでしょう。また、環境や社会問題に配慮したESG投資やテーマ型ETFなど、新しい商品も続々と登場しており、投資家のニーズに応じてラインナップが拡充されていくと予想されます。

一方で、商品の多様化に伴い、情報に振り回されてしまうリスクも高まります。どのETFが有望か、どの投資信託が今熱いのかという話題は絶えませんが、本質的には「長期分散投資を行い、コストを最小限に抑えながら、なるべくほったらかしで資産を増やす」というシンプルな方針が王道と考える投資家も少なくありません。その意味で、投資信託もETFも、インデックス運用であれば基本の考え方は同じです。余計な売買コストをかけずに、時間を味方につけることでリスクを緩和しつつリターンを狙うという戦略は、今後も変わらず有効でしょう。

結論としては、自分がどれだけ投資に手間と時間をかけられるか、どのくらいの流動性を求めるか、そしてリスク許容度がどの程度あるのかを踏まえて、投資信託とETFを上手に組み合わせるのが賢い選択です。日々の値動きにそこまで時間を割きたくないなら投資信託中心、短期的な売買機会も活かしたいならETFを組み込む、といった柔軟な発想が大切です。


【まとめ】

投資信託とETFは似ているようで取引方法やコスト構造など多くの違いがあります。投資信託は少額から積立しやすく精神的負担が少ない一方、ETFはリアルタイム取引が可能で信託報酬も比較的低めです。どちらが優れているかは投資家のスタイルやリスク許容度によって変わるため、自分が目指す投資の形に合った商品を選ぶことが重要です。長期的な資産形成を目指すなら、インデックス型の商品を活用しつつ、無理のない範囲でコツコツ続けることで、時間を味方にできるでしょう。


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