【経済産業省の副業・兼業ガイドラインから考える新時代の働き方】
はじめに
日本では近年、副業や兼業が徐々に解禁・推進される流れになっています。経済産業省が公開している令和4年度版の「副業・兼業ガイドライン」(参照:経済産業省 白書・統計資料一覧)には、企業側の対応や従業員が知っておくべきルールなどがまとめられています。本記事では、その概要をわかりやすく紹介するとともに、これからの働き方に与える影響や個人的な感想を述べます。
【目次】
- ガイドライン策定の背景
- ガイドラインにおける主なポイント
- 企業が押さえるべき対応策
- 個人が副業を行う際の注意点
- 今後の展望と個人的な感想
1. ガイドライン策定の背景
働き方改革や労働力不足などを受け、日本社会では複数の職場で働くことへの理解が高まりつつあります。特にコロナ禍以降、リモートワークやオンライン業務が広がり、職場の所在地に縛られない働き方が可能になりました。こうした流れの中で、「副業・兼業を推進して人材の多様な活用を図ろう」という動きが経済産業省や厚生労働省を中心に進められています。
ガイドライン策定の狙いは、企業と労働者の双方が安心して副業を行えるためのルールづくりです。就業規則や労働時間管理、情報漏えいのリスクなど、従来は曖昧だった点を明文化することで、副業解禁のハードルを下げることが目的とされています。
2. ガイドラインにおける主なポイント
①就業規則の整備
企業は従業員に副業を認める場合、就業規則に「副業・兼業を認める」旨を明記し、許可の範囲や申請方法を示す必要があります。
②労働時間管理
副業先での労働時間も含め、過度な労働にならないよう管理する体制が望ましいとされています。健康面への配慮や長時間労働の防止策がポイントです。
③情報漏えい・競業避止
従業員が別の企業で働くことで、機密情報の取り扱いや競合他社への情報流出リスクが高まります。契約書や就業規則で厳格化し、違反があった場合の処置も明確にする必要があります。
④成果の評価
副業によって獲得したスキルを本業に還元できるメリットも大きいです。ガイドラインでは、企業が従業員の副業経験を人事評価に活かせるような仕組みづくりも視野に入れることを推奨しています。
3. 企業が押さえるべき対応策
企業側にとっては、副業を認めるにあたって「管理コストが増える」「情報漏えいリスクが高まる」などの懸念があるでしょう。ガイドラインでは、以下のような対応が必要とまとめられています。
- 就業規則の明文化: 副業可否の判断基準や業務区分などを明確にする。
- 業務管理体制の構築: 長時間労働にならないよう勤怠データを確認し、必要に応じて従業員と面談。
- 情報セキュリティルールの導入: 副業先で取り扱うデータと本業のデータを厳格に区分し、社外への持ち出しを制限する。
- 評価制度の再検討: 副業によるスキルアップをプラスに評価する仕組みを検討。
4. 個人が副業を行う際の注意点
一方で、個人が副業を始める際にも、労働時間管理や本業への影響に注意が必要です。副業が原因で本業に支障をきたすと、会社内での評価が下がるだけでなく、健康面でも大きなリスクがあります。
また、副業収入の税金に関しても注意しましょう。副業収入を確定申告せずに放置すると、追徴課税のリスクがあります。会社の年末調整では副業分はカバーされませんので、年明けの確定申告時にしっかり処理しておくことが大切です。
5. 今後の展望と個人的な感想
副業・兼業ガイドラインは、政府が労働力不足を補いながら経済活性化を狙う施策の一環とも言えます。高度なスキルを持つ人材が企業間をクロスオーバーしやすくなることで、日本企業全体のイノベーションが促進される可能性があります。
個人的には、副業解禁は働き手にとって大きなチャンスだと考えています。自身の強みを活かして別の収入源を得られるだけでなく、新たなネットワークやスキルを獲得する場にもなり得るからです。一方で、労働時間管理や健康管理を怠ると心身の疲弊につながる恐れもあるため、バランスを取りつつ進めることが重要だと感じます。
今後は、各企業がガイドラインに沿って就業規則を整備し、副業を活用した人材マッチングの仕組みを整える動きがさらに加速するでしょう。個人としては、副業に興味がある方は早めに情報収集を始め、本業との両立策を考えておくのが得策ではないでしょうか。
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