【はじめに】ものづくり白書とは
「ものづくり白書」は、正式名称を「我が国の産業及び企業等に関する年次報告」といい、経済産業省が毎年公表するレポートです。製造業を中心とした日本の産業動向や企業活動の実態、政策課題などが網羅的にまとめられています。
本記事では、令和5年版ものづくり白書(参照:経済産業省公式Webサイト)の内容をかいつまんで紹介し、「デジタル人材不足と副業の可能性」について考察してみます。
【目次】
- 令和5年版ものづくり白書の概要
- デジタル人材不足の背景
- 企業が副業人材を求める理由
- 副業でデジタルスキルを発揮するには
- 個人的な感想
1. 令和5年版ものづくり白書の概要
令和5年版ものづくり白書では、世界的な経済不確実性の中で日本の製造業が直面する課題や将来展望が取り上げられています。主なポイントとしては、
- サプライチェーンの強靭化
- カーボンニュートラルに向けた取り組み
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
- 人材不足への対策
などが挙げられています。特にコロナ禍以降、各企業においてデジタル化の重要性が増しており、DX推進に取り組む企業が多い点が特徴です。
2. デジタル人材不足の背景
デジタル技術を活用して業務効率化や新規ビジネスモデルの創出を目指す「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、多くの企業にとって急務ですが、専門知識を持った人材が圧倒的に足りていないのが現状です。
令和5年版ものづくり白書でも、今後IT人材やデジタル人材の需要が大幅に増える一方で、労働人口の減少や高度なスキルを持つ人材の取り合いが進むため、企業間の競争が一層激しくなると指摘しています。
加えて、単純にプログラミングスキルだけでなく、AIやIoTなど最新技術に対応できる人材、データ分析を行える人材、さらにはビジネス全体を見通してDX戦略を推進できるプロジェクトマネージャーなど、求められるスキルも多様化しています。
3. 企業が副業人材を求める理由
こうした流れの中で、企業が副業人材に注目するケースが増えているようです。白書に直接「副業」というキーワードは多く登場しないものの、デジタル人材を確保する多様な手段として副業や兼業が取り上げられる可能性があると推測されます。企業が副業人材を求める理由には、次のようなものがあります。
- 専門的スキルを即戦力として活用: 社員を採用するよりコストやリスクを抑えられる
- 外部の知識・ネットワークの活用: 新しい発想を取り入れ、イノベーション創出につなげる
- 柔軟な雇用形態: 企業のリソースや予算に応じて発注量をコントロールしやすい
特にスタートアップ企業や中小企業では、フルタイムのデジタル人材を雇えない場合も多く、副業でスキルを持つ人材をスポットで活用する動きが増えていると考えられます。
4. 副業でデジタルスキルを発揮するには
では、副業としてデジタル人材として活躍するためには、どんな準備や取り組みが必要でしょうか?
- 自己学習とスキルアップ: オンライン講座や資格試験、プログラミングスクールなどで継続的に学ぶ
- 実績の可視化: GitHubやSNS、ポートフォリオサイトを活用して自分のスキルを公開
- コミュニティへの参加: 勉強会やハッカソン、IT系イベントでネットワークを広げる
- 案件探し: 「ビズリーチ」「Wantedly」など副業募集が行われるプラットフォームを活用
IT企業やスタートアップ以外でも、製造業やサービス業など、あらゆる業種でDX推進の機運が高まっています。自分の得意とするスキル・経験を活かせる案件を探してみるとよいでしょう。
5. 個人的な感想
令和5年版ものづくり白書の内容からもわかるように、日本の産業界が直面するデジタル人材不足は今後ますます深刻化すると感じます。一方で、DXを推進したい企業側とスキルを活用して副業で収入を得たい個人側とのマッチングの場は、まだまだ十分に整備されていない印象です。
しかし、リモートワークの普及やオンライン学習の充実化、マッチングサービスの台頭などにより、副業でスキルを活かすハードルは着実に下がっています。特にコロナ禍以降、働き方が多様化し、柔軟な人材活用のモデルが企業と個人の双方にとってメリットがあることが徐々に認知され始めています。
今後は政府や企業が積極的に副業を推進して、労働人口不足をスキルシェアでカバーする動きがさらに加速するのではないでしょうか。デジタル人材の皆さんにとっては、新しいチャンスが拡大していく時代が来ると期待しています。
コメント